医療福祉現場に20年、色々な成年後見人を見てきた行政書士らいちょう先生。
今日は「成年後見制度のトラブル事例①親に会えなくなる!?」の正体を読み解きます。
実際に自分が子供であっても親と会えなくなるケースがあるって本当ですか?
はい、本当です。
ただ、大手まとめサイトの書き方は誤解を招いています。
①親と面会できなくなったケース1(虐待可能性が伏せられている)
「ある日、実家に帰ったら親がいない。勝手に成年後見人をつけられて施設に入居していた。
成年後見制度って深い闇ですね」
という内容のSNSのポストを発見しました。一緒にテレビの一場面が写っていたのですが、措置入所と書いてあります。
これ、医療福祉現場にいる人は あ、措置だ と気がつきます。
ポスト主は行政に連れ去られたと言う認識のようですが、、、。
措置入所は家族からの虐待が疑われる際に取られる方法です。
高齢者虐待には
経済的虐待
心理的虐待
身体的虐待
性的虐待
ネグレクト
の5類型があり、いずれかに該当した可能性があります。
なお、家族が「虐待していない!」と言っても虐待に該当するのではないかという場合
高齢者の保護が最優先になるため、証拠が揃えば措置入院という形で加害者(かもしれない)家族と高齢者を引き離すことはあります。
このケースの場合は成年後見人が付いたから親と会えなくなったのではなく、
親子を引き離すべき事由があったから会えなくなった。本人の権利保護の為に成年後見人が選任された。ですね。
怖いのは、SNSや一部のサイトではあたかも成年後見制度の闇として取り上げられ
ているという事です。
②親と面会できなくなったケース2(単独申請の落とし穴)
「自分と仲の悪い家族が単独で申請し成年後見人になった、施設入所中の親と面会させてもらえない」
残念ながらこれは、成年後見制度を使った嫌がらせ。ひどいデメリットかな~。
施設等では成年後見人が本人に変わって入居手続きを行います。
現場では身元引受人=キーパーソン=成年後見人という理解の所も多いんです。
細かく言うと成年後見人は身元引受人では無いんですけど。
入院時・入所時はプライバシー保護の希望を聞きとりされます。
今はプライバシー保護にうるさい時代ですからね。
(入院・入所を)案内する
(入院・入所について部屋など)案内しない ただし入院していることは回答する
入院していること自体を案内しない
みたいな3択になっているところが多いですかね。
入院していることも案内しないという対応に○をつけた場合
そもそも名前も出しませんし、入院していません!と答えることになっています。
つまり、他の家族や親族が来ても病院や施設は知らぬ存ぜぬで面会はできません。
家族の争いごとは知らないのでキーパーソンが書いた書類が全ての対応を決めます。
成年後見制度というか、キーパーソンの立場を利用して
プライバシーの保護を盾に、会わせたくない人を排除できる可能性は否定できません。
兄弟間で遺産争いがすでに起きている場合などは要注意です。
このようなトラブルに遭われたら残念ですが病院や施設に相談しても
解決は難しいと思います。
解決策が提示できずごめんなさい。
まとめ
成年後見制度の悪用で親に会えなくなる、面会できなくなることはありえる
単独申請のデメリットと言える
出回っている情報は内容が当事者の目線で盛られていたり、よく見ると虐待疑いだったりするので
成年後見制度利用を直接の原因として、親に会えないようなおかしい状態にはならないと考えています。
他にも医療福祉の臨床が長いと、成年後見制度のトラブル事例としてあげられているケースには疑問点もあるのです。
後見制度は認知症から自分や親の財産・意思を守る有効な手段ですので、利用を検討されている場合は、専門職にご相談ください。
らいちょう先生も富山で相談に乗っています。