認知症ではない証明|診断書は取れる?方法・費用・効力(富山版)

シニア

遺言作成や任意後見契約、不動産売買、金融機関での大きな手続きのときに 「認知症ではない証明」があればいいのに、、、そんな相談が増えています。

本記事では、診断書は取れるのか/どう依頼するか/費用・効力/保険適用の考え方に加え、 断られたときの対処、公正証書遺言の活用、富山の専門医療機関まで、医療福祉現場出身の行政書士が簡単に説明していきます。

認知症ではない「証明」はどうやって用意する?

  • 医師の診断書:当日の医学的所見(診察・検査結果)を記載する文書。法律的な「意思能力の有無」を断定するものではありません。
  • 第三者の立会い記録:士業などの第三者が、説明・理解・本人意思を確認した事実を記録(チェックリストや立会確認書)。

ポイント:「証明」=単一書面で絶対に証明するものではなく、複数の客観資料を積み上げる発想が実務的です。

「認知症ではない」という診断書は取れる?

可能な場合があります。ただし医師が書けるのは 「現時点の医学的所見」であり、 「法律上の意思能力がある/ない」を断定する立場にはありません。 記載例としては「認知症の所見なし」「認知症の診断に至らない」「判断力に著しい低下を認めない」等が用いられることがあります。

診断書1枚で認知症ではない!と証明するというよりは、診断書を作成するために行った様々な検査所見を複数総合して、その段階においては認知症の所見は見られないという内容になる場合が多いです。

想定される場面(求められるケース)

  • 遺言の作成
  • 任意後見契約・見守り契約の締結
  • 不動産売買(高齢の売主)
  • 金融機関での大口手続き(融資・解約・名義変更 等)
  • 保険・信託等の契約
  • 高額な契約時 例えば墓所、納骨堂などの契約時

当職の経験上、診断書を求められるケースには特徴があります。
高齢と言うだけでは全員が診断書を求められてはおらず、何か意思表示能力で気になる点があるような場合や、相続人との関係性が悪く意思表示能力を理由に本人の決定が脅かされるような事態が隠れているようなケースです。
もし、認知症ではない証明を診断書で求められた場合は、理由と、診断書に代わる証明方法について確認されると良いかと思います。

診断書を取る方法と医療保険の考え方

① 受診ルート

  • かかりつけ医に相談し、必要があればもの忘れ外来・認知症専門外来を受診。
  • 目的(遺言作成・契約手続き 等)を医師に正直に伝える。書式があれば持参。

② 医療保険の適用・自費の違い

  • 症状があって受診(記憶障害など):検査・診療は保険適用。ただし診断書は「病状等の証明」で、意思能力の法的断定ではありません。
  • 契約や遺言のための証明目的:診療ではなく依頼文書作成(自由診療)の扱いになりやすく、保険適用外

③ 費用の目安

  • 自費の診断書作成料は概ね5,000円〜20,000円超(医療機関により差)。
  • 検査(画像・心理検査 等)を伴う場合は別途費用がかかります。
    自費診療か保険診療かで大きく費用が変わります。

診断書の効力(できること・できないこと)

  • できること:当日の医学的状態を残す事。
  • できないこと:将来の争いに対する絶対保証。裁判での判断は診断書単独では決まりません

診断書+公証証書遺言で作成する+原案を担当する士業が残す面談記録など、複数資料の組み合わせが、将来もめない円満遺言への第一歩です。

診断書を出してもらえない場合の対処

  • 医師のスタンスにもよるため、医療機関を変える
  • 公証証書遺言で透明性を確保する
  • 遺言の原案を作成する行政書士などの面談記録で補強する

医療機関は限られた地域の医療資源であるため、症状がない患者の受診には否定的な医師がいることも事実です。

遺言作成のときは公正証書遺言がおすすめ

遺言の有効性は「作成時に意思能力があったか」で判断されます。 公正証書遺言なら公証人が直接面談し、必要に応じて診断書の提出を求めます。 将来的に争いになった場合でも、公証人の関与が強い裏付けになります。

それでも裁判になれば、カルテ・介護保険の主治医意見書・介護認定審査資料などが総合的に評価されます。 とくに認知機能の低下を理由に介護サービスを受けているような場合概ね要介護2〜3以上が要注意)、意思能力があったと認められるハードルは高い、という現実的な認識も必要です。

富山の認知症疾患医療センター(相談・専門外来の拠点)

令和7年(2025年)4月1日現在の県公式情報をもとにしています。最新は富山県公式サイトをご確認ください。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

医療圏センター名称設置病院(所在地)
新川にいかわ認知症疾患医療センター医療法人社団 弘仁会 魚津緑ヶ丘病院(魚津市大光寺287)
富山谷野呉山病院 認知症疾患医療センター医療法人社団 和敬会 谷野呉山病院(富山市北代5200)
高岡高岡市民病院 認知症疾患医療センター高岡市民病院(高岡市宝町4番1号)
砺波北陸病院 認知症疾患医療センター独立行政法人 国立病院機構 北陸病院(南砺市信末5963)

まとめ

  • 「認知症ではない証明」は診断書を検討に入れつつも、面談記録や第三者立会い記録を重ねて補強するのが実務的。
  • 契約・遺言など目的のための診断書自費になりやすく、費用はピンキリ。
  • 透明性を求めるなら公正証書遺言の利用が安心。それでも争いになれば医療・介護の記録を含む総合判断となる。
  • 富山では認知症かな?と思ったり、物忘れの症状が気になる場合は認知症疾患医療センターが相談・受診の入口。最新情報は県のサイトで各自ご確認ください。
    かかりつけ医に相談するのも良い。

富山でのご相談は「行政書士らいちょう事務所」へ

当職は、医療福祉の現場で20年ほど勤務しており、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネジャー、行政書士の資格保有者が対応します。医療福祉と法務を結ぶ珍しい専門職です。

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