ペット法務|2025.08.31
「ペット ネット販売 禁止」「違法?」「例外は?」という疑問に、行政書士が答えます。
結論はシンプル:ネット完結の販売は違法/禁止。ただしネット掲載(広告)はOK、そして災害・感染症等では“対面に相当する方法”が認められる場合あり。この3点を軸に、条文と運用を説明していきます。
ブリーダーやペットショップを始める予定の起業者に読んでもらえたら嬉しいです。
原則|対面・現物確認が必須
動物愛護管理法(動愛法)および施行規則では、動物販売の際に対面での説明と現物確認を義務づけています(条文上は第21条等の規定、詳細は施行規則で定義)。 したがって、ECサイトの決済〜宅配まで非対面で完結する販売は違法です。
- 対面説明:飼養方法・習性・寿命・健康管理などを説明
- 現物確認:購入希望者がその個体を実際に確認
POINT:この原則は犬猫に限らず、爬虫類・小動物などにも適用されます。
なぜネット販売は禁じられるのか
- 生体は「商品」と同一視できない:健康・福祉への配慮が不可欠。
- 購入者保護の観点:飼養方法や寿命の理解が必要。
- トラブル防止:実個体を見ない契約は苦情・事故の温床。
ネットに生体情報や価格が出ているのは違法?(広告はOK)
違法となるのは「非対面で売り切る」行為。
一方で、サイトやSNSに写真・価格・性別・誕生日・血統等を掲載する“広告”は適法です。 多くのショップ・ブリーダーは、ネット掲載 → 来店・対面説明 → 現物確認 → 契約という導線を採用しています。
OK(適法)の例
- WEB掲載はあくまで紹介・広告。購入は店舗で対面・現物確認のうえ契約。
NG(違法)の例
- カート決済〜宅配まで非対面で完結。
- フリマアプリ・オークションでの生体売買。
- 「譲渡」と称した実質有償販売(対面説明なし)。
例外|対面が困難な場合と「対面に相当する方法」
動愛法第21条には、対面が困難な場合(環境省令で定める)には、対面に相当する方法を認める旨の規定があります。 代表的には次のような状況が想定されます。
- 感染症のまん延時:新型コロナ禍で一時的に運用。テレビ電話(Zoom等)のリアルタイム説明+個体の映像提示が「対面に相当」と扱われた事例。
- 大規模災害で移動困難:地震・水害等で対面が著しく困難な期間の暫定対応。
- その他、省令で明記された特殊事情:例外は限定的で、恒久的なオンライン完結を認める趣旨ではありません。
「対面に相当する方法」の要件イメージ
- リアルタイムの双方向性:録画動画や写真の送付だけでは不可。
- 個体の状態をその場で提示:全身・動き・反応を示しながら説明。
- 事前資料の交付:書面や電子データで飼養情報を提供し、当日確認。
現在の原則:社会的制限が解除された局面ではふたたび「対面・現物確認」が基本です。例外はあくまで特例的取り扱い。ほとんど認められないと想定して販売計画を立ててください。
実務運用とよくあるNG事例
行政の基本スタンス
- 広告掲載は可・契約は対面必須という整理で指導。
- 犬猫ではより厳格(マイクロチップ等の義務)。
- 爬虫類・小動物も対面・現物確認の原則は同じ。
違反・トラブルの典型
- 無登録のネット販売/SNS直売。
- フリマ・オークションでの生体取引。
- 「譲渡」名目の有償販売(実質売買)。
- 説明不足による健康・死亡トラブル。
違反すると罰則があります。販売する側は実質数年は販売やペットに関する仕事ができなくなります。
Q&A:よくある質問
Q. 自社サイトに「購入ボタン」を置いてはダメ?
A. 非対面完結になる仕組みは不可。予約・問い合わせボタンにとどめ、来店で対面・現物確認の導線に。
Q. オンライン説明を使えば常にOK?
A. いいえ。例外は限定的で、感染症・災害等のやむを得ない事情が前提。通常時は対面が原則です。
Q. 爬虫類や小動物は規制が緩いの?
A. 犬猫より細則が一部緩やかな面はありますが、対面・現物確認の原則は同じ。加えて特定外来生物・特定動物の規制確認が必須。
まとめ|広告はOK、契約は対面で
- ネット完結の販売は違法・禁止。
- ネット掲載(広告)はOK。来店→対面説明→現物確認→契約の順に。
- 例外は感染症・災害時などに限られ、テレビ電話等の双方向説明が求められる。
ペットショップやブリーダーを始めるに当たっての許認可の他、説明書面・同意書、契約書の整備等、までサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は概要解説です。具体的な適法性判断・最新運用は所管窓口や条例等で異なることがあります。
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