ペット法務|2025.08.29
富山で起業や許認可をサポートする行政書士がペットホテルを開業したい人向けのイロハを説明していきます。
ペットは大事な家族の一員。でも旅行や出張、最近は飼い主の入院などでお預かりが必要なケースが増えてきています。
仕事としてペットホテルを経営する場合、必要な要件や登録があるので準備して行きましょう。
富山でペットホテルを開業する準備
- サービス内容の決定 — 日中の一時預かりか、宿泊対応まで行うか。送迎やペットサロンなど他の業態と掛け合わせるかなど全体像を決めます。
- ホテルの形態を選ぶ — 自宅型(副業で小さく始めやすい)/テナント型/大型施設型
- 物件の準備 — 富山は車社会。駐車場の確保が集客のカギ。防音・換気・消臭対策も必須。
- 動物取扱業登録(保管) — 保健所での事前相談→申請→現地確認→登録証交付(5年更新)。
- 事業開始の届出と集客 — 開業届、料金表・利用規約、SNSや地域媒体で情報発信。
ポイント:特に自宅×副業で始める場合は、住宅地での騒音・臭気対策を早期に計画。基準に合わない造作はやり直しコストにつながります。また、ペットサロン同様に用途地域に制限がある為、自宅で開業できるかは事前に調査した方がいいです。
ペットホテルの主な形態(自宅型・テナント型・大型施設型)
① 自宅型ホテル
- メリット:初期費用が低い/副業でも始めやすい/自宅の空きスペース活用
- デメリット:鳴き声・臭気で近隣トラブルになりやすい/家族への影響
- 要件:清掃しやすい床・壁、換気・排水、十分なケージスペースなど法施行規則で決められた設備を用意しなければならない。
お気軽に、ゲージだけあれば大丈夫というわけではありません!
② テナント型ホテル
- メリット:立地次第で安定した集客/規模拡大しやすい
- デメリット:家賃・敷礼・改装費がかかる
- 富山の勘所:駐車場の有無と停めやすさ。視認性の良い立地は集客効果大。
店舗併用住宅やチャレンジショップなど家賃が低く抑えられる形態のテナントもあるため一概に費用効率が悪いとは言えないが初期費用は自宅開業に比べて高額になる。
③ 大型施設型(ドッグラン併設など)
- メリット:付加価値サービスで高単価が期待できる
- デメリット:初期投資が高額/広い土地の確保が必要
ペットホテル開業にかかる費用と資金調達
初期費用の目安
- ケージ・サークル:20〜50万円
- 空調・換気設備:30〜100万円
- 防音・消臭工事:50〜150万円
- 内装工事:30〜100万円
- 宣伝費(HP、看板、広告):10〜30万円
合計目安:自宅活用は100万円〜テナント型や大型施設型は300万円以上
ペットビジネスの中では初期費用が安い方だが、開業資金が用意できない場合はペットシッターなど
店舗が無くても営業できる形態からスタートするのも方法の一つです。
自宅設備がそのまま生かせる部分は生かして、初期費用を節約しますが、大概の場合は
居住用として設計されているため、ペットホテルを営む場合には何らかの改装が必要になるパターンが多いです。
富山で使える資金調達の方向性
- 日本政策金融公庫の創業融資:自己資金が少なくても利用しやすい。
- 富山県・市町村の創業補助金:改装・設備費に使える場合あり(年度要件は要確認)。
- 信金・地銀の創業ローン:事業計画の完成度で可否が左右されやすい。
用途地域・管理規約の確認(自宅開業でも最初に確認!)
同じ「自宅」でも、用途地域や管理規約によってはペットホテル用途での営業ができない場合があります。
- 用途地域の制限:第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域などは事業用途が制限されることが多く、ペットホテルは認められないケースがあります。
- 管理規約の制限:分譲・賃貸マンションでは住戸内での事業禁止、来客や臭気・騒音に関する独自ルールがあることが一般的。
- その他:建物用途・消防・駐車計画・看板設置など、個別に条件が付く場合があります。
成功へのヒント:改装・契約の前に、用途地域調査・管理規約確認・所管窓口への事前相談をセットで実施。ここは行政書士が代行できる調査業務で、開業可否や必要要件をクリアにできます。
ダメージが大きいので開業できるか調査する前に内装等の手配をするのは危険です!
不動産屋さんも許認可には詳しくない場合もあるため、自己責任・自己防衛を意識して行動しましょう!
動物取扱業登録は必須
犬猫を一時的に預かる行為は法律上の区分で「保管」に当たり、動物取扱業登録が必須です(有効期間5年・更新あり)。
登録開業の流れ
- 保健所へ事前相談:動線・設備・必要書類・車両(送迎含む)の確認
- 申請書類の準備:申請書/平面図・周辺図/資格・実務証明/設備資料ほか
- 設備工事・改装の実施
- 現地確認 → 登録証交付
先に改装すると、基準未達でやり直しになる場合があります。順番設計が重要です。
設備基準の例
- 犬の体格に応じたケージ数・広さ
- 十分な換気・消臭設備
- 清掃・消毒が容易な床材・壁材
- 夜間の照明・温度管理・見回り体制
法律施行規則で定められた基準に沿って店舗を用意しなければなりません。
行政書士に依頼するメリット
- 書類・図面作成、窓口調整の一括サポート
- 自宅型は改装前の基準チェックでやり直しコストを回避
- 利用規約・免責条項・同意書など、トラブル回避の書式を整備
官公庁に提出する書類を作成・提出代行できるのは行政書士だけです。
業者さんの中には無料でサービスする場合が散見されますが違法行為で発覚すれば100万円以下の罰金か1年以下の拘禁刑という重い罰則があります。
ローカルルールが存在したり、希望する業態には複数の登録が必要となる場合もあるため
自分でやると結構な手間や時間を要します。(役所は平日の日中しかやっていません)
許認可部分を行政書士に依頼し、集客や技術研鑽を頑張る経営者が多いのにも納得。
送迎サービス(ペットタクシー)も取り入れる場合
- 飼い主(人)を乗せる送迎:原則不可。だが、例外があり不可能ではない。
- ペットのみ送迎:可能。
- 車両設備:固定できるケージ、換気、清掃容易性。
- 保険:送迎中の事故リスクに備えて事業用自動車保険・賠償責任保険に加入。
成功へのヒント:チラシ・Webには「ペットのみ送迎」「送迎範囲」「待機・お渡し方法」「免責・補償範囲」等を明記。利用規約に落とし込むとトラブル防止に有効です。
なお、無償で行う場合は運送業許可は必要ない場合もありますが、無償で送迎をするケースが想定しにくいので基本的には運送業許可を取得していくことになります。
ペットタクシーでの独立開業の記事も是非お読みください!
ペットホテル開業でよくある失敗例
- 用途地域・管理規約の見落とし:そもそも自宅エリアで営業不可だった。
- 設備基準未達:換気・臭気・防音が不十分で登録不可/近隣苦情。
- 資金繰りの甘さ:開業費のみ見積もり、運転資金が枯渇。
- 集客の一本足打法:SNS頼みで、特に初期の集客に苦戦しているうちに資金が枯渇
- トラブルがあり高額な賠償を請求されて一気に経営が破綻(契約書や利用規約の整備がされていればトラブルが起きても高額賠償には至らなかったと思慮されるケース)
設備・資金計画・集客・法務の4点セットを整えることが安定経営の近道です。
まとめ|富山でペットホテルを開業するなら
- 自宅×副業から小さく始めるのは可能だが、用途地域・管理規約の確認は必須。
- 動物取扱業登録(保管)は必須。書類・設備・現地確認まで見据える。
- 夜間体制と防音・消臭を怠るとトラブルに直結。
- 逆に夜間有人体制は強みになる
- 送迎は強みだが、法的整理・保険・規約の整備が前提。
自分がやろうとしている事業にはどんな用意が必要かをはっきりさせることが第一歩。
富山でのペットホテル開業(自宅・副業スタート可)は、用途地域調査・管理規約確認から、登録申請、図面・書式(利用規約・免責事項等)整備まで一括サポート。まずはお気軽にご相談ください。
※法令・運用は自治体で異なる場合があります。最新の要件は富山県および各保健所・市町村窓口の案内をご確認ください。
【対応エリア】富山市・高岡市・射水市・魚津市・黒部市・滑川市・砺波市・南砺市・氷見市・小矢部市・上市町・立山町・入善町・朝日町・舟橋村 など、富山県全域に対応しております。