はじめに
「定年後にお店を始めたいけれど、資金はどうすればいいの?」「60歳から起業するときに、退職金を全部つぎ込んでしまって大丈夫?」
定年後に起業を考えるとき、多くの方が最初に直面するのがお金の問題です。この記事では、65歳からでも安心して始められるように、退職金の使い方、融資の受け方、そして創業時に活用できる補助金について解説します。
1. 退職金をそのまま使うのは危険?
定年後起業で一番多いケースが「退職金を元手に使う」ことです。確かにまとまった資金を手にできるチャンスですが、注意点があります。
- 退職金は老後生活費の大切な資金でもある
- すべてを投資すると、事業がうまくいかなかったとき生活が苦しくなる
- 小規模な事業でも、運転資金は数か月分確保しておく必要がある
退職金は全額を投入せず、一部を自己資金に、残りは生活資金として残すのが安全です。
2. 融資を利用する場合
日本政策金融公庫の創業融資
60歳からの起業でも利用可能です。自己資金の2倍程度まで借入できるケースがあり、返済期間や金利も比較的優遇されます。ただし近年は金利が徐々に上昇しており、「少しでも低く借りたい」と考えるなら早めに動くことが大切です。
信用金庫・信用組合の融資
地元の信用金庫や信用組合は、中小事業者の強い味方です。担当者が親身に相談に乗ってくれる反面、多くが「変動金利」である点に注意が必要です。金利上昇局面では返済負担が増える可能性があります。
地域の制度融資(富山県・市町村)
富山県や市町村が設けている制度融資では、利子補給や信用保証料の補助を受けられる場合があります。条件次第では実質的に低金利で借りられることもあります。
銀行融資
実績のない定年後起業では審査が厳しめです。担保や保証人を求められることもあり、まずは日本政策金融公庫や信用金庫を優先するのが現実的です。
3. 補助金・助成金の活用
創業時には国や自治体の補助金を利用できることがあります。代表的なものは次の通りです。
- 小規模事業者持続化補助金:チラシ作成やホームページ制作費に使える(上限50万円など)
- 創業促進補助金(自治体独自):市町村によって条件が大きく異なる
富山県内の例
- 魚津市:業種を問わず、店舗改装や設備導入に補助金を活用できるケースあり
- 滑川市:飲食業や小売業に重点を置いて支援しており、業種によっては手厚いが対象が限定される
このように「どの自治体で、どのタイミングで募集されているか」によって、もらえるかどうかが変わります。つまり補助金はローカルルール+時の運の要素が大きいということです。申請のタイミングを逃すと1年先になる場合もあるため、起業を思い立ったら早めに情報収集を始めることをおすすめします。
4. 定年後・シニア起業でのお金の注意点
定年後の起業は「社会貢献したい」「地域の役に立ちたい」という動機がとても多いです。ですが、どんなに立派な理念があっても、事業として収支が成り立たなければ長く続けることはできません。
- 退職金などのまとまった資金があっても、それを減らし続けるだけでは事業は継続できない
- 起業では「自己満足」ではなく「お客様が対価を払ってくれる仕組み」が不可欠
- 社会貢献を目的にしても、経済的な持続性がなければ結果的に誰も幸せにできない
つまり「事業単体で黒字化できるかどうか」をシビアに考える必要があります。加えて、次の点にも注意が必要です。
- 65歳から始める場合は返済期間が短くなる:融資では10年ローンが組めないこともあり、毎月の返済額が重くなりがちです。
- 体力や健康の制約:長時間働くのが難しいため、人件費や外注コストを計画に入れる必要があります。自分だけではなく、配偶者の健康状態や介護などが事業に影響するケースも多いです。
- 家族の理解と協力:特に退職金を元手にする場合、生活費との線引きを明確にし、家族に説明責任を果たすことが大切です。
「社会貢献 × 収益性」のバランスをどう取るかが、60歳からの起業を成功させる分かれ道になります。
まとめ
定年後に起業する場合、お金の準備は「退職金+融資+補助金」の組み合わせが基本です。60歳からでも65歳からでも、無理のない資金計画を立てることが、第二の人生を安心してスタートさせる秘訣になります。
「やってみたい」という気持ちを大切にしつつ、資金面で失敗しないために、専門家のサポートを活用してください。行政書士として、事業計画書の作成、融資申請、補助金の手続きまでサポートいたします。
富山で安心して第二の人生を始めたい方へ
行政書士らいちょう事務所では、シニア世代の起業を法務・手続き・融資支援の面からサポートしています。
代表者は、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネ、行政書士という珍しい資格者。
高齢期の心や体の変化にも詳しいです。無理をせず生活を守りながら事業が出来るようなアドバイスを心がけています。
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